森林総合研究所研究報告
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研究資料
1991年から1998年にかけてインドネシア東カリマンタンでチガヤ草原をモニタリングしたところ、平均火事間隔は1.2年と1.9年であった
清野 嘉之 ハスタニアスハルディマン アリ
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電子付録

2024 年 23 巻 4 号 p. 177-181

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抄録

東カリマンタンのバリクパパン~サマリンダ道路沿いのチガヤ草原内に複数のサイトを設けて1991年7 月から98年10月まで(7.3年間)観察し、火事の頻度を調べた。平均火事間隔が1.2年と1.9年の条件下でチガヤは草原を優占し続けた。火事は降水量が少ないときに発生し易かった。繰り返される火事がチガヤより背が高くなる植物を除去したので、チガヤに日が当たり、チガヤ草原が維持された。ただし、Google Earth の履歴機能を使用して調べたところ、プロットのチガヤ草原は2024年までにほぼ全て失われていた。1998~2024年の間に、調査地域を含むサマリンダとバリクパパンの間の地域ではコショウ農園の数が減少し、アブラヤシ農園や石炭採掘地域への土地転換が進んだ。これらの転換により草原が分断され、類焼が妨げられた。断片化した草原でチガヤと共存して育つ小高木種やアカシア・マンギウム、耐火性樹木が、チガヤを被圧した可能性がある。

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