日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
幽門狭窄を来した進行胃癌に対して経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の腸瘻化(PEG-J)が奏効した1例
山下 真幸足立 靖田中 浩紀安達 靖代明石 浩史佐々木 泰史加藤 康夫伊東 文生篠村 恭久遠藤 高夫
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2010 年 52 巻 5 号 p. 1415-1420

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抄録
経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;PEG)は経口摂取困難な患者に対する栄養投与法として急速に普及し,標準的な治療法となりつつある.一方,PEGは消化器進行癌に対する症状緩和のためのドレナージにも積極的に利用されている.今回われわれは,幽門狭窄をきたした進行胃癌患者に対して,減圧と栄養・投薬を目的に小腸留置型ダブルルーメンチューブを用いてPEGの腸瘻化(percutaneous endoscopic gastrostomy-jejunostomy;PEG-J)を行った.その際,細径内視鏡を経胃瘻的に用いること(transgastrostomic endoscopy;TGE)で簡便に腸瘻化可能であった.ダブルルーメンチューブを用いたPEG-Jにより退院可能となり,中心静脈栄養と経鼻胃管による管理を回避でき,QOLが改善された.PEG-Jは切除不能胃癌の幽門狭窄例に対する緩和医療として,選択しうる治療法と考えられた.
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© 2010 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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