抄録
【背景と目的】内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)後膵炎予防目的に蛋白分解酵素阻害剤が広く投与されている.少量では薬理学的効果が不明確で必要性をretrospectiveに検討した.【方法】NM投与せず施行した連続570例のうち未処置乳頭で膵炎の合併や胃切除の既往のない250例(A群)を対象とした.それ以前のNM 20mg/日を検査前投与した連続586例のうち未処置乳頭で膵炎の合併や胃切除の既往のない対象と同数の250例(B群)を対照とし,膵炎率,膵炎発症危険因子を検討した.【結果】膵炎率,高アミラーゼ血症の頻度は共に4%,18%で統計学的差はなかった.A群で3時間後のアミラーゼ値,臨床症状でのERCP後のNM追加投与は12%であった.多変量解析で危険因子は,45分以上の処置時間であった.【結論】MN 20mg/日の検査前投与ではERCP後膵炎発症率に影響を与えない可能性が示唆された.