2014 年 56 巻 6 号 p. 1960-1965
症例は79歳,女性.認知症による経口摂取困難を理由に,introducer変法による経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:以下PEG)を施行した.しかし,胃瘻からの経腸栄養開始後に嘔吐を繰り返し,濃厚流動食の増量が困難であった.原因精査のために腹部CTを施行したところ,びまん性の胃壁内気腫を認め,門脈気腫,胃排出障害の合併を疑った.また,上部消化管内視鏡検査では胃体部から前庭部に散在する小斑状発赤を認めた.PEGに関連して発症した胃気腫症と診断したが,前記の所見は経腸栄養の中断後比較的速やかに改善した.PEGを契機に発症した胃気腫症の稀な一例を経験したので報告する.