2018 年 60 巻 11 号 p. 2387-2392
80歳男性.肺転移を伴う胃癌に対し胃全摘術を施行し,化学療法の2次治療としてRamucirumab(RAM)単独療法を施行したところ,8コース投与後に黒色便を認めた.カプセル内視鏡検査で上部空腸からの出血が疑われ,シングルバルーン小腸内視鏡検査で小腸angioectasiaと診断し止血を行った.本症例ではRAMの血管新生阻害作用により出血が遷延した可能性があり,積極的な出血源の検索と止血処置が有効であった.また,angioectasiaは再出血のリスクがあるため止血後も経過観察が必要である.