日本消化器内視鏡学会雑誌
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原著
急性出血性直腸潰瘍における難治性および予後に関する因子の臨床的検討
水野 裕介山田 智則
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2022 年 64 巻 4 号 p. 983-991

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抄録

【目的】急性出血性直腸潰瘍(Acute Hemorrhagic Rectal Ulcer;以下AHRU)の臨床的・内視鏡的特徴,および難治性や致死的な経過をたどる因子を明らかにする.

【方法】AHRUを発症した44例を対象とし,1)患者背景,2)内視鏡所見および止血処置,3)一次止血処置後の再出血例,4)死亡例についてデータを収集し解析した.

【結果】1)75歳以上の高齢者,Performance Status 3以上の発症が多い傾向にあった.基礎疾患として,心血管疾患,脳神経疾患,整形外科疾患が多くを占めた.2)内視鏡観察時に半数以上で出血像を認め,クリップ法による止血術が最多であり,一次止血は良好な成績であった.3)一次止血後の再出血リスク因子として,ステロイド薬使用が検出された.4)AHRUを発症した患者の入院中死亡リスク因子として,透析が検出された.

【結論】AHRUにおける内視鏡的止血後の再出血と入院死亡のリスク因子は,それぞれ「ステロイド薬使用」と「透析」である.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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