2023 年 65 巻 7 号 p. 1239-1244
症例は67歳男性.7年前に便潜血陽性で精査CSを施行し盲腸血管性病変を指摘された.今回,他疾患精査で行ったCSにて,盲腸の病変は7年前より明らかに増大していた.無症状ではあったが,今後の出血などのリスクを考え,手術を施行した.手術標本の病理所見は海綿状血管腫の所見が病変の一部にみられるが,大部分は血管中膜に豊富な弾性線維と平滑筋を有する拡張性の静脈からなる静脈型血管腫を呈していた.結腸の血管腫は発生頻度が少なく,報告はあるもののほとんどは血便などの症状を有し,組織学的には海綿状血管腫の病変である.今回われわれは,無症状のうちに増大していた,組織型も稀である盲腸静脈型血管腫の症例を経験したので報告する.