2024 年 66 巻 2 号 p. 144-150
患者は80歳,女性.心窩部痛と血性嘔吐を主訴に来院した.内視鏡検査では切歯より30cmの胸部中部食道から胃側に向かって境界明瞭な全周性の潰瘍を連続性に認め,35cmの部位で高度狭窄をきたしていた.骨粗鬆症に対して3年前からミノドロン酸50mgが処方されており,ビスホスホネート(Bisphosphonate:BP)製剤を服用した5日後から症状が出現していたためBP製剤による薬剤起因性食道炎と診断した.入院10日目の内視鏡検査では食道潰瘍および狭窄は治癒していた.自験例は高度の炎症性狭窄をきたした稀な薬剤起因性食道炎であったが,自然経過の中で狭窄に対する治療介入を行うことなく高度狭窄の速やかな改善を観察できた貴重な症例と考えられた.