抄録
噴門部早期胃癌47例を対象に,癌の中心が食道胃接合部(EGJ)より1cm以内の胃側に存在する腺癌を1群(17例),2cm以内に存在する腺癌をII群(30例)とし両者間の臨床病理学的特徴と内視鏡所見を比較検討した.(1)臨床病理学的特徴:I群とII群に共通した所見は高齢者の男性で分化型癌が多く,占居部位は小彎と後壁に高率で,同一胃内に他病変の合併率が高く,癌粘膜進展は胃短軸方向への帯状進展が多かった.I群とII群の相違点はI群に隆起型癌,II群に陥凹型癌が多く,I群に粘膜下層浸潤率(53%)が高く,I群では大きさが1cmを越えると肉眼型とは無関係に粘膜下層浸潤率が高かった.食道への浸潤率はI群に,癌巣内潰瘍合併率はII群で高かった.(2)内視鏡所見:I,II群とも陥凹型癌の基本的な色調は深達度に関係なく発赤で,病巣の一部に出血,白苔を伴い,表面は平滑な例が多かった.