抄録
症例は18歳男性で,1996年6月腹痛と頻回の血性水様下痢を主訴に来院し入院となった.入院後の下部消化管内視鏡検査にて,回盲部から上行結腸を中心に,全周性の著明な浮腫と暗赤色調の易出血性粘膜像,さらに壊死物質の付着を認めた.病変は連続性で,同様の所見は横行結腸からS状結腸にも認められたが,次第に軽度となり,直腸にはまだらな発赤を認めるのみであった.便培養は陰性であったが,臨床症状とPHA法によりO-157に対する抗体が陽性であった事から,ベロ毒素産生性大腸菌(O-157)による出血性大腸炎と診断した.本症の内視鏡像を経過観察し得た報告は少なく,貴重な症例と考えられた.