抄録
西オーストラリア、ノースポール地域のドレッサー累層(約35億年前)には最古の海底熱水活動が記録されると考えられる。この地域における当時の生命活動は、原核生物様化石や、堆積有機物や硫化物、流体包有物中のメタンの安定炭素同位体組成等から推測されてきた。原核生物化石は太古代の生命記録として、もっとも直接的な情報を与える。しかし、サイズが小さく、構造が単純な化石を正確に分類することは一般に困難である。堆積有機物の化学分析は起源生物の推定に有用であるが、抽出有機物には後の時代のコンタミネーションの問題がある。これらの問題に対して、岩石薄片の局所分析が行われ、微小領域での同位体組成、官能基組成等を知ることが可能になった。顕微赤外分光法は20µm程度の空間分解能で官能基組成を明らかにすることが可能で、原生代有機質微化石の分類に用いられてきた。しかし、太古代試料に適用した報告例はない。本研究では、ドレッサー累層から産出した熱水性石英岩脈中の炭質物の顕微赤外分光分析を行った結果を報告する。