抄録
本研究では落葉広葉樹林において群落レベルで人工的に窒素を散布し、数か月・年スケールでの植生起源二次有機エアロゾル(SOA)質量生成への影響を評価することを目的とした。北大苫小牧演習林において、2012年4月から粒径別エアロゾル試料の採取を約1週間毎に継続し、2013年・2014年に単年当たり100 kgN ha-1の窒素(尿素)をフラックスタワー周囲に人工散布した。窒素施肥の植生起源SOA質量への影響を施肥後1年目と2年目において施肥区と対照区の比較から評価した。結果として、植生起源SOAの中でもα-ピネンの初期酸化生成物であるピン酸が春と落葉期の秋季(10月)に質量濃度増加を示す季節変化を示した。窒素施肥の前後で施肥区でのピン酸質量比は秋季に有意な増加を示し(~30%)、この増加は林床付近(根/落葉/土壌)におけるα-ピネンの放出増加に起因することが示唆された。