2017 年 25 巻 p. 104-108
太陽系には塵や衝突破砕物のような粉粒子体で構成された小天体が存在し,衝突による集積と破壊を経験している.小天体の空隙率は,現在,大きいものでは80%を越えるが,太陽系初期には,もっと大きかったと考えられる.小天体どうしの衝突によって,衝突点近傍では加圧による圧密が起こる.衝突点から離れた場所では衝突励起振動による流動のために密度が変化する.本研究では,粉粒体層に対して一軸方向の圧力を加え,空隙率の変化を測定した.その結果,初期空隙率がほぼ一定のまま保たれる圧力範囲が存在し,それを超えると空隙率が圧力とともに減少することが示された.このしきい値を粉粒体層の「降伏強度」とし,個々の粒子間に働く平均の力を見積もった.この力は,粒子間に働くころがり摩擦力とすべり摩擦力のそれぞれの理論値の間の値をとることを示した.また,すべり摩擦力の小さい粉粒体層ほど,圧縮しやすい傾向があることも示した.