2018 年 26 巻 p. 73-79
今日,振動は様々な工業用粉末プロセスで利用されている.粉体層に振動を加えると,粒子はしばしば流動化する.周波数や振幅などの振動条件に応じて,さまざまな粉体流動パターンが現れることが知られている.流動パターンは,粒子サイズ,粉体層の大きさやアスペクト比の影響を受ける.振動粉体層内の粉体の対流に対する粉体量と容器形状の影響を調べるために,離散要素法(DEM)に基づく数値シミュレーションとPEPT実験の両方を行った.得られた結果は今回の条件下で粉体の対流速度は容器サイズと無関係であることを示した.次に粉体対流速度の推算式をシミュレーション結果から導き出した.この式により対流速度は振動振幅に強く依存することが考えられる.この式を用いて得られた平均速度とPEPTを用いて測定された値とを比較した.周波数が90 Hz未満で無次元加速度が5を超えると,推算値と実験値の間に良好な一致が得られた.