2018 年 26 巻 p. 80-84
大規模離散要素法(DEM)を用いて,乾燥粉体層中での平板掘削のシミュレーションを行った.粉体層の初期充填率(粒子体積占有率)が平板抵抗力に及ぼす影響を検討した.その結果,掘削の定常状態における平均作用力は充填率に対してほぼ直線的に増加する.また,充填率が低い場合,抵抗力は平板の進行とともに一定値に達するが,充填率が高くなると力は周期的に大きく増減する.一連の抵抗力の挙動は既往の研究の実験結果と対応する.層内部の局所充填率の解析から,初期充填率が低いと層内に明確な剪断帯(すべり面)が形成されない一方,初期充填率が高いと平板下部先端から粒子層表面に向かう明確な剪断帯が形成されることがわかった.さらに,充填率が高い場合,剪断帯は平板の進行に伴って,間欠的になり,剪断帯が入れ替わる過程と抵抗力の増減は連動する.