2018 年 26 巻 p. 105-109
粒子懸濁液のケーク濾過における濾過特性は,粒子間間隙を液体が透過する際に生じる圧力損失を反映する.この粒子間間隙の大きさを評価するため,粒子の周囲に形成される電気二重層の厚さを利用した流動電位に基づく間隙サイズDspの評価方法の開発を行い,従来の評価指標(動水直径Dh,キャピラリー相当径Dp)と比較した.粒子径の異なるPMMA微粒子を用いて形成したケークのDspを評価した結果,DspはDh,Dpと同様に粒子の平均粒子径d50が小さくなるのに従い小さくなる傾向があった.Dspは,ケーク比抵抗αAVが大きいときに小さくなる傾向が得られ,ケーク層中の粒子充填構造の評価に使用できることが分かった.種々の粒子(PMMA粒子,JIS粉体(関東ローム,重炭酸カルシウム),PbSO4,Zn(OH)2)によりDspを評価した結果,その絶対値はDh,Dpに対して1/4~1/10程度の値であった.Dspと同時に評価される表面電荷密度qpは粒子の種類に依存し,その絶対値はおよそ1 × 10–3から1 × 10–2 C/m2の範囲の値を示した.