2023 年 31 巻 p. 117-121
セラミック粒子へのポリマー被覆は,粉体の均一・高分散性に寄与し,その特性向上を可能とする.現行のポリマー被覆技術は,精緻な構造・組成制御ができるものの,その工程が煩雑であることが課題となっている.そこで,粒子の破壊や昇温を伴わない機械的処理(摩砕)が引き起こす粒子極表面のラジカルを最大限利用した粒子表面での選択的なポリマー形成技術を開発した.本研究では,モデル材料としてシリカを母粒子として表面ラジカルとスチレンとを反応させることで,ポリスチレンの被覆を行った.パラメータとして,処理時間,スチレンの添加量,母粒子の材質を検討し,ポリスチレンの形成機構に関して調査した.今後はこれらの結果を基に研究を進め,摩砕によるポリマーの形成機構を明らかとする予定である.