抄録
1997年のアジア通貨危機では、欧米が経済再生をリードし、2008年のリーマンショックでは、中国、韓国などアジアの新興国が経済回復の牽引役を果たした。大企業よりも国家が前面に政策立案し、企業戦略を誘導し、大規模なプログラム事業による展開する。わが国も産学官連携によるスマートシティ、ハブ空港、高速鉄道で貢献できる機会がある。韓国の海外原発受注はその象徴事例であるが、わが国は道路やダム建設の開発事業で住民抵抗も引き起こしている。その構図は、Policy〜Strategy〜Programの連携を教示するが、直面する課題克服も多い。本論は今後の大型公益プログラムの海外政策展開のリスク防止のために、P2Mの戦略論における事例調査と基本ロジックを論じ、バイアスを防止する「協議型戦略プログラミング手法」を提案する。2011年3月11日発生した東大日本震災は、今後社会インフラ政策に重大な教訓を残したが、本論の分析評価には触れていない。