日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
総説
早期接触の解明
横田 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 37 巻 1-2 号 p. 17-

詳細
抄録

歯への外傷力が歯周組織の破壊に関わっているのではないかという議論が当然のように行われている.しかし,歯周病の病因論における世界的な咬合性外傷の位置づけは,歯周病の主たる病因ではなく,修飾因子に過ぎないとされている.このコンセンサスは臨床実感とは程遠い.その理由は,歯周病と歯根膜の病態生理、それにセメント質の研究が不足していた40 年前の動物研究によって,現在のコンセンサスができ上がっていることにある.AAP 歯周病の分類においても現在の咬合性外傷の定義は十分に整理されていない領域であるとされている.本総説では, 1990 ~2011 年までに行われた九州歯科大学グループによる動揺と歯根膜とセメント質の研究を総括し,早期接触 の発生過程に5 系列があることを指摘した.さらに,基本治療によって歯根膜機能が改善することによって,咬合力が増大するとともに脳血流が増大する.この一連の研究は現在の咬合性外傷の概念を補完するものである.

著者関連情報
© 2017 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top