2016 年 16 巻 4 号 p. 4_66-4_79
新潟県中越地域に展開された観測点間隔5 km~10 kmの高密度地震観測網により観測された東北地方太平洋沖地震の記録の分析を行った。加速度波形は、太平洋側の宮城県・福島県とは異なり特徴的なパルスを持つ波群はなく、丘陵部で10~20 cm/s2、平野部で30~40 cm/s2である。加速度フーリエスペクトルは、高周波成分が小さく1 Hz以下の振幅が大きい。また、0.1 Hz以下はほぼ同一でNS成分の0.02 Hz、EW成分及びUD成分の0.04、0.06、0.08 Hzに共通のピークが認められる。0.1~2 Hzのスペクトル振幅は、平野部で周辺丘陵部の約5倍である。速度波形ではEW成分及びUD成分に二つの明瞭なパルスが確認される。最大加速度、最大速度は、丘陵部で小さく平野部で大きく大局的には地形と対応がよく、AVS30との相関も確認できる。ただし、最大速度は既往の知見よりAVS30に対する傾きが小さく低周波数側の影響が示唆される。また、周期5秒、10秒の加速度応答(減衰5%)は、地形よりも地震基盤深さ分布との相関が見られ、厚い堆積層の影響も示唆される。