2018 年 18 巻 2 号 p. 2_15-2_34
観測地震動振幅の偶然的不確実性によるばらつきの特徴を把握することを目的として,地震規模,震源位置が同じ2地震による同一観測点の記録ペアの加速度応答スペクトル振幅(h=5%)の自然対数のばらつきを分析した.全記録ペアから評価した偶然的不確実性によるばらつきの標準偏差σは地震タイプ,周期によって変動があるものの0.3~0.45程度の範囲であった.σは周期0.2秒前後で緩やかなピークを示す傾向があり,そのピーク周期は地震規模が大きいほど長周期側に変化する傾向が認められた.また,遠方の記録ペアから評価したσは相対的に小さい値を示すことがわかった.このようなばらつきの特徴には,地震の断層破壊様式の違いが影響を及ぼしている可能性が考えられる.なお,地殻内地震と海溝型地震によるσを比較すると地殻内地震の方が大きい値であった.これは,地殻内地震の方が,震源距離が小さい記録ペアを多く含むためと考えられる.σの地震規模依存性,震源距離依存性には地震タイプによる明瞭な違いは認められなかった.