地域の防災力を向上するための支援シミュレータの概念を新たに提示し、それを構成する一連のサブシステムの意義と技術背景および開発結果を通して、全体システムの有効性と将来展望を論じる。具体的には、WebGIS 上で、我が家の地盤の過去からの変遷を戦前・戦後・現在の空中写真から知る3 次元バードビューシステム、高解像度の地盤モデルを自動生成することによる地震動シミュレーション、自宅の簡易地震応答シミュレーション、家具の転倒シミュレーション、豊富な振動実験映像資料などを利用して、自宅の危険度を真に「気づかせ」、耐震診断・耐震補強、家具固定へと誘導する。さらに、自然言語を用いた会話型教材や講演を録画したe ラーニング、Wikiを利用した防災知識ベースなどを備えることにより「学び」へと誘導する。そして、Web 上でのDIG 機能や防災マイマップ作成機能を備えることにより、地域での防災活動を支援する。以上により、本システムは、建物耐震化と地域防災力の真の向上に向けた活動の活性化と実践への誘導を目指す。