抄録
1995 年の阪神淡路大震災のように、人口が密集した都市で大地震が発生した場合、道路橋を含む交通システムが被災することにより、交通機能や復旧作業に大きな支障をきたすことが予想される。それゆえ橋梁構造物に関しては、地震発生直後の交通網の被災情報を提供し、被災度の軽減、被害の拡大防止、及び復旧作業の補助を行うための地震時リアルタイム損傷検知システムが必要であると考えられる。本研究では、ニューラルネットワーク (Neural Networks: NN) を用いた地震時リアルタイム損傷検知システムにおける橋脚の損傷判定法を提案した。損傷判定法では、まずNN を用いて健全時の構造システムの同定を行う。次に橋脚構造の同定が行われたNN を用いて、地震を受けた場合の出力値 (NN予測値) と橋脚の応答計測値 (実測値) の間に生じる誤差 (NN予測誤差) から損傷判定を行う。ここで、NN予測誤差の評価指標としては、実測値とNN予測値における振幅比と位相差を選定した。そして、独立行政法人土木研究所で行われたRC 単柱の加振実験のデータを用いて、提案した損傷判定法の検証を行った。その結果、振幅比と位相差の二つの評価指標が損傷程度 (固有周期変化・減衰定数変化) とよく一致することを確認した。また、提案した損傷判定法は、周波数領域の解析手法に比べてより迅速に損傷情報を提供することが可能である。