2015 年 41 巻 1 号 p. 9-16
Penicllium expansumはりんごに感染する植物病原菌の一種で,パツリンを産生し,りんご加工製品のパツリン汚染の原因となっている。本研究ではりんごのパツリン汚染の低減化を目的に,長野県産の10種のりんごにP. expansumを接種し,品種別のりんごの果実成分とパツリン蓄積量との関係を解析した。
その結果,早生種の祝,つがるでパツリン蓄積量が高く,秋映,シナノゴールドおよび印度では低いことが認められた。りんご果実の成分とパツリン蓄積量との関係では,総ポリフェノール量,クロロゲン酸およびアスパラギンとの間には有意な相関が確認された。一方,硬度および糖度とパツリン蓄積量との間には逆に有意な負の相関が確認され,パツリンは硬度および糖度の高い品種で蓄積しにくいことが示唆された。
以上より,りんごへのパツリン蓄積量を予測するには,生食用の適熟期収穫したりんごの総ポリフェノール,クロロゲン酸,糖度および硬度を測定する事が有効であることが示唆された。これらは今後のパツリン汚染の少ない品種の開発,既存品種のパツリン汚染,加工適性を考えるうえで重要な知見である。