日本食品保蔵科学会誌
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サチャインチオイル摂取による血流依存性血管拡張反応:機能性食品のヒト血管に対する非侵襲的評価法
南 和広樫村 修生前崎 祐二清柳 典子丹羽 光一相根 義昌渡部 俊弘
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2017 年 43 巻 4 号 p. 163-170

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抄録

 私たちは,血管機能を向上させる働きのある機能性食品を評価するための非侵襲的ヒト対象試験法を構築した。ω3脂肪酸は,血管機能を向上させる機能があることが知られている。そこで,本研究では,ω3脂肪酸を多く含むことで知られるサチャインチオイルを使用した。血管内皮機能障害は,高血圧や動脈硬化などの心血管疾患の初期症状である。近年,血管内皮機能は,血流依存性血管拡張反応(FMD)の測定によって評価できることが明らかとなっている。本試験に使用したサチャインチオイルは,リノレン酸が,全脂肪酸の45.5%と高いω3脂肪酸含量を示した。サチャインチオイル(350mg)を健康な被験者(男性10人・女性10人:平均年齢21.6±0.83歳)に経口投与したところ,摂取3時間後のFMDが11.2±2.53%(通常時)から,17.2±1.82%に上昇した。一方,プラセボとしてキャノーラオイル(9.7%リノレン酸含有)を投与してもFMDは,11.7±2.05%への上昇にとどまった。以上の結果は,サチャインチオイルが,ヒトの血管内皮機能を向上させることを示している。私たちは,本研究の成果から,FMDを基礎とした本法を,ヒト血管機能を増進させる機能性食品の簡便で効果的な評価法として提案する。

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© 2017 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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