2019 年 45 巻 2 号 p. 85-93
マサバへしこの米糠について,生の米糠と性状を比較した。その結果,水分,脂質,および灰分は発酵後の米糠で増加していたが,これは製造工程でくわえられたしえ汁によるものであると考えられた。また,米糠の一般成分は製造時期による違いはほとんどみられなかった。米糠の性状は,SEMでは,非澱粉性多糖では細胞壁や澱粉粒の表面に損傷が観察された。また,アミロペクチンのDP6~12の鎖長は減少し,DP13~20の鎖長は増加していた。非澱粉性多糖(Fr.Ⅰ)および澱粉性多糖(Fr.Ⅱ)水可溶性区分(Fr.Ⅲ)の分析より,発酵期間中の酵素による分解が推察された。
さらに,発酵後の魚体周辺の米糠より,アミラーゼ生産菌株を分離同定した結果,Bacillus amyloliquefaciens(A1),Paenibacillus amylolyticus(A3),Bacillus subtilis(B1),Bacillus licheniformis(B2),Oceanobacillus picturae(B3)と推定された。