抄録
キウイフルーツ果実は追熟に伴ってエチレンを生成することは既に多くの報告がある。しかし, 個々の果実のエチレン生成に達するまでの時間は変動幅が大きく, バラツキも大きい。また, キウイフルーツ果実の貯蔵性に大きな産地間差異があり, 追熟の早晩における地域差についても明確となり, 流通上問題となっている。この原因を解明する目的で本研究を行った。
5℃で約6カ月間低温貯蔵後, 20℃で追熱したキウイフルーツ果実では数日後からエチレン生成がみられたが, これらの果実のほとんどは, ボトリオスフェリア属かホモプシス属による軟腐症に感染していた。
呼吸量の多い果実, またはEFE活性の高い果実についても, ほとんどの果実が軟腐症に感染しており, ACC含量も軟腐症の病斑の拡大に伴って増加した。以上の結果より, 追熟中のキウイフルーツ果実のエチレン生成における個体差の一部は, 収穫前に感染していた軟腐症菌の発病に伴い, エチレンが生成し, そのエチレンによって他の果実の追熟がより促進され, 急激に軟化が進むことによって説明できると考えられた。