抄録
最近, 野菜の漬物加工の中では浅漬の需要が増加してきた。しかし, 浅漬は塩分濃度が低いために微生物が増殖しやすく, 品質の低下を招く。これら増殖する微生物には圃場で野菜に感染する病原微生物の関与も考えられる。このため, ハクサイ軟腐病菌をモデルとして浅漬中の増殖程度を調べた。
1) ハクサイ浅漬中の軟腐病細菌を選択的に定量するため, プラスミドpBR325を本細菌に形質転換した。その結果, 抗生物質耐性を獲得し, ハクサイに対して病原性を有する形質転換細菌が得られた。
2) 本菌は, 浅漬時に相当する2-3%NaClの濃度では0.5%NaClにおける増殖量に匹敵した。また, 培養液のpHが4.5では増殖しないが, 6.0以上では速度は遅いものの, 増殖が認められた。
3) 本菌の抗生物質耐性による選択性を健全ハクサイを用いて調べた結果, クロラムフェニコール等の3種の薬剤を用いた場合に選択性が高くなり, 雑菌の大部分を小コロニーに抑制した。さらに, LB培地を変法ドリガルスキー培地に替えると, 一層効果的であった。
4) 浅漬の5℃と10℃貯蔵に伴う軟腐病菌の消長を調べた結果, 5℃では菌濃度は調味液に漬けた直後とほとんど変わらなかったが, 10℃では増殖する傾向が認められ, 漬液が濁りやすかった。これらの結果から, ハクサイの浅漬の製造および流通過程では, 5℃の維持が重要であることが示唆された。