日本食品保蔵科学会誌
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冷凍あるいは凍結乾燥処理した野菜・果実中のビタミン含有量に及ぼす通年貯蔵の影響
辻村 卓荒井 京子小松原 晴美笠井 孝正
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1997 年 23 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

冷凍あるいは凍結乾燥処理を施した食品中のビタミンおよびミネラルについて実験した。
いも2種類野菜11種類を実験試料とした。適当な大きさに切断した試料をブランチング処理後, これらに冷凍および凍結乾燥処理を施し, 以後12カ月間にわたり水分, カロチン, B1, B2, ナイアシン, ビタミンCについて分析を行い, 冷凍および凍結乾燥後の冷蔵保存が各試料中の栄養成分の残存とどのような関係になるかを検討した。
(1) ブランチング処理試料についてはカロチン, B1, ビタミンCについて分析を施した。西洋かぼちゃは新鮮試料と比較してB125%, ビタミンC30%を減少させた。しゅんぎくはB115%, ビタミンC30%を失った。カロチンは一定量を示した。
(2) 12ヵ月間-24℃に保存した冷凍試料の場合, 水分は変動がない。カロチン含有量が減少したものはさつまいも, チンゲンツァイ, わらびなどであった。 B1, B2, ナイアシンは分析の結果減少を認めなかった。ビタミンCはえんどう (グリーンピース), しゅんぎくで減少した。
(3) 12ヵ月間冷蔵庫中に保存した凍結乾燥試料の場合, 水分の変動はなかった。カロチン含有量はアスパラガス, さやえんどう, 西洋かぼちゃ, キャベツ, しゅんぎく, チンゲンツァイ, にんじん, わらびなどで減少した。B1, B2, ナイアシンでは減少を認めなかった。ビタミンCはアスパラガス, さやえんどう, キャベツで減少を認めた。
本実験の研究費の一部はビタミンC研究委員会からの援助によるものである。

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