日本食品保蔵科学会誌
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Streptomyces chromofuscus起源Phospholipase Dの分子構造の解析
Phospholipase Dのホスファチジル基転移能に関する研究 (第1報)
佐藤 広顕吉金 恵理子渡部 俊弘高野 克己永島 俊夫小嶋 秩夫
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1998 年 24 巻 5 号 p. 309-314

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抄録
本論文では起源の異なるPhospholipase D (以下PLaseD) の構造と作用性の相関について明らかにすることを目的とし, Streptomyces chmmofuscms PLaseDに注目した。その精製された標品をSDS-PAGEにより分離した結果分子量約57kDaと約40kDaの2つのタンパク質バンドを認めた。それら両タンパク質のアミノ酸配列分析を行うと, N末端アミノ酸から20残基までのアミノ酸配列が完全に一致していた。そこで, 約57kDaタンパク質を, Staphylococcus aureus V8Proteaseによる限定分解を行った。さらに約57kDaのタンパク質の主な限定分解物であるpeptide断片についてアミノ酸配列分析を行つた。その結果約57kDaタンパク質の限定分全解から得られた約10, 14, 16, 18, 20, 30, 42および46kDaの8 peptide断片はいずれもDNAから全解析されたStreptomyces chromofuscus PLase Dのアミノ酸配列中に見い出された。それらのことから, 約57kDaタンパク質は, DNAから解析されたStreptomyces chromofuscus PLase Dのアミノ酸配列と同一であることを示唆した。筆者らは, Strepomyces chromofuscus起源PLase Dは, 植物起源PLaseDに比べ, ホスファチジル基転移能が低く, より広いpH領域で作用することを確認している。この相違は, Streptomyces chromofuscus 起源PLase Dには約57kDaとそのC末端側のアミノ酸から一部peptideが欠落したと推定される約40kDaの2種のPLase Dが存在することに起因すると考えられた。それら2種のPLaseDの分子構造を検討することは, PLase Dの作用性を見る上で重要と考えられる。
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