日本食品保蔵科学会誌
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高温処理によるブロッコリー小花の黄化とエチレン生成の抑制
寺井 弘文加納 麻記水野 雅史土田 廣信
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1999 年 25 巻 5 号 p. 221-227

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抄録
収穫後のブロッコリー小花の黄化を遅らせる目的で, 20℃貯蔵に先だって空気中で45, 50, 55℃の高温処理が1~5時間行われた。50℃, 2時間や3時間の高温処理は緑色や品質保持について, その他の処理区より効果的であった。50℃で1, 2, 3時間処理しその後20℃で貯蔵したところ, 小花のクロロフィルの減少や炭酸ガスおよびエチレンの生成の増加は1時間処理のクロロフィルの例外を除いて抑制された。その抑制の程度は処理時間の長さに応じて増加した。貯蔵中の1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸 (ACC) の含量について, 無処理や50℃1時間または2時間処理の小花では同程度増加したが, 3時間の高温処理はその増加を遅らせた。貯蔵中のACC酸化酵素の活性は無処理や50℃1時間処理で顕著に増加し, 2時間処理がそれに続いた。これらの酵素活性は最大値に到達後すばやく低下した。しかし, 3時間の高温処理の小花では, その活性は貯蔵中ほとんど検出されなかった。これらの結果から, 50℃の短時間処理はACCのエチレンへの変換を阻害してエチレン生成を抑制し, それがブロッコリー小花の黄化を遅らせる要因となったものと考えられた。
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