2000 年 26 巻 1 号 p. 11-15
Pichia ohmeri AN231の生成する抗酸化物質について生成のタイムコース, 菌体内の局在性, リノール酸に対する抗酸化機作について検討した。
本株の生成する抗酸化物質は菌の増殖と共に作られ, 18時間後より菌体外に排出されることが認められた。また菌体内の局在性は液胞中にそのほとんどが存在していた。このことより, 本抗酸化物質は菌体内で増殖直後から作られるものの, ただちに排出されるのではなく, その後徐々に排出されることが明らかとなった。リノール酸に対する抗酸化機作についてはフリーラジカル捕捉能において強い活性を示しており, 対照として用いたBHAと同程度, α-TOCより高い値が示された。また本物質は濃度依存的に作用することが認められた。しかし過酸化水素消去能, 活性酸素消去能, 金属イオンとのキレート作用については全く活性を示さなかった。以上よりP. ohmeyi AN231の生成する抗酸化物質の作用機作はフリーラジカル捕捉効果によるものであると推察した。