比重の異なるバレイショについて生鮮時ならびに蒸熱処理後のバレイショからそれぞれペクチンを抽出・分画し, その性状変化と物性変化との関係について検討した。
1) 蒸熱処理によりバレイショは, 軟らかく結着力の小さな物性へと変化した。それに対し品温低下では逆に崩れにくい硬い物性へと変化したが, それらの傾向は前者では高比重バレイショが, 後者では低比重バレイショの方が大きかった。
2) バレイショの水溶性ペクチン量は, 蒸熱処理により増加, 品温低下により減少した。それらの傾向は, 前者では高比重バレイショが, 後者では低比重バレイショの方が大きかった。
3) 水溶性ペクチンは, 蒸熱処理により低分子量画分が増加し, 品温低下では減少した。
4) 蒸熱処理やその後の品温低下による水可溶性ペクチン画分の挙動は比重によって大きく異なり, バレイショの加工特性が比重によって異なる要因の一つとしてペクチンの性状および熱挙動が関与することが明らかになった。
抄録全体を表示