抄録
アクリジンと8種の9-直鎖アルキルアクリジン類 (アクリジン (Ac), 9-メチルアクリジン (MeAc), 9-エチルアクリジン (EtAc), 9-n-プロピルアクリジン (PrAc), 9-n-ブチルアクリジン (BtAc), 9-n-ペンチルアクリジン (PnAc), 9-n-ヘキシルアクリジン (HxAc), 9-n-ヘプチルアクリジン (HpAc), 9-n-オクチルアクリジン (OcAc)) の抗かび作用の大小とかびとの親和性の相関を, 電気化学的手法の一つであるサイクリックボルタンメトリにより検討した。かびにはAspergillus nigerを用い, かびで被覆した白金電極とかびを被覆しない白金電極を用いて, その8種の9-直鎖アルキルアクリジン類のサイクリックボルタンモグラム (CV) を測定した。その結果, かびで被覆した白金電極を用いて測定したPnAcのCVには, 9-直鎖アルキルアクリジン類のアニオンラジカルの生成・消滅に起因する酸化還元電流ピークの他にプレピークが観測された。このことはPnAcがかびに吸着捕捉されることを示した。8種の9-直鎖アルキルアクリジン類の中で6が高い抗かび性を示すことから, 抗かび作用にはかびの吸着捕捉が重要な要素となっていることが明らかとなった。