抄録
有孔ポリ包装を用いた'刀根早生'ハウス栽培果実の軟化抑制効果を実用技術として確立するため, 果実を脱渋処理後, 高温下または低温下で保存した場合の軟化果実発生様相を検討した。
(1) 有孔ポリ包装区の果実は, 無包装区と比較して, 脱渋処理後, 高温下でも果実の重量損失, エチレン生成および軟化果実の増加が抑制された。
(2) 無包装区の果実では, 低温で保存する前にエチレン生成量が増加し, 軟化果実の発生が認められた。その後低温に移すと果実の呼吸活性やエチレン生成量は低下したが, 軟化果実は緩やかながらも増加し続けた。有孔ポリ包装した果実では常温下でも軟車化果実の増加が抑制された。
以上の結果から, '刀根早生'ハウス栽培果実の収穫後の果実軟化対策としての有孔ポリ包装は, 高温環境下でも軟化抑制に高い効果を示すことが明らかとなった。また, 包装による果実軟化抑制効果は, 低温だけでは代替できないと考えられた。