日本食品保蔵科学会誌
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種々の貯蔵酸素濃度がバナナおよび香酸カンキツ'ヘベズ'果実の生理と品質に及ぼす影響
スリラオン ワリット辰巳 保夫
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2002 年 28 巻 6 号 p. 307-315

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抄録
バナナとヘベズ果実を20℃下で種々の酸素濃度 (5~100%) に貯蔵した。呼吸量とエチレン生成は, 両果実とも21%より高い酸素濃度下で増加した。呼吸, エチレン生成とも酸素濃度に比例して増加した。空気以上の酸素濃度で貯蔵したバナナ果実は空気またはそれ以下の濃度に比べて果色が黄色 (hue angleで90度) になるのが早かった。一方, 高酸素で貯蔵したヘベズ果実は, 対照区 (空気区) より脱緑が進まなかった。低酸素区 (5と10%) は, 両果実とも呼吸, エチレン生成とも抑制され, かつ, 脱緑も遅れた。低酸素下に貯蔵したバナナは貯蔵27日後でも未熟のままで, その後空気中に移すと正常に成熟した。しかし, 酸素10%貯蔵区は5%貯蔵区よりも早く成熟した。完熟段階の全糖含量は, 明らかに他の区より低い80,100%酸素区を除いて酸素濃度にかかわりなく対照区とほとんど変わらなかった。高濃度酸素処理区のヘベズ果実のクエン酸含量は, 空気区および低濃度酸素処理区より高かった。可溶性固形物は100%酸素区を除いて当初より増加したが, 100%区では他の区より明らかに低く, 当初の値を維持していた。
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