抄録
収穫後に35-90%のエタノールでバナナ果実を処理すると渋味の除去と甘味の増すことが報告されている。遺伝子発現の特異的なパターンと局在を調べるために, バナナ果実を60%エタノール処理とコントロール処理し, 次いでバナナから抽出された全RNAをACC酸化酵素遺伝子のプローブとハイブリダイゼイションさせた。
果肉と果皮のMA-ACO1のmRNA (バナナのACC酸化酵素をコードしている) の代表度を比較すると, 60%エタノール処理の3日目で果肉が果皮より代表度が高く, コントロール処理の6日目でも果肉のシグナルが果皮より明らかに高かった。この結果, エタノール処理バナナのうち, 生エチレンの誘導が果肉で始めにMA-ACO1の発現を調節し, 次いで発現部位が皮へと移行すると考えられる。ACC酸化酵素遺伝子発現はエチレン生成の上昇とほぼ一致し, 全RNA中のmRNA量の増大が確認された。