抄録
純水中に腐敗細菌の一種であるPseudomonasfluorescens 8 株とPseudomonas putida 8 株の各菌株を純水に懸濁後, 4℃および25℃で5年間保存し, 保存後に生残性を示したものについて増殖および各種性状を調べた。
(1) 4℃保存, 25℃保存の懸濁液をそのまま肉汁培地に接種して30℃で振とう培養したところ, 親株 (-80℃保存株) と増殖はほとんど変わらなかった。
(2) 4℃保存, 25℃保存の懸濁液を栄養素要求試験, タンパク質および脂質分解試験に供したところ, 保存温度の違いによる結果の差はみられなかった。
(3) 細菌の同定キットの一つであるNF-18と各種分解酵素活性検出キットであるAPI ZYMにて各種生化学試験を行ったところ, 保存条件の違いによる結果の差はみられなかった。
以上のことから, 純水のような貧栄養条件下にPseudomonas属細菌が長期間存されても, 性質は変化せず, 腐敗を引き起こす可能性が高いことが明らかとなった。