日本食品保蔵科学会誌
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収穫時期がブロッコリーの呼吸速度, 成分含量および品質に及ぼす影響
池田 浩暢藤瀬 朋子宮城 一菜茨木 俊行太田 英明
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2008 年 34 巻 1 号 p. 3-9

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抄録

ブロッコリーの収穫時期ごとの品質と鮮度保持期間を明らかにするために, 11月 (秋期), 1月 (冬期) および4月 (春期) に収穫したものの温度別の呼吸速度を調査し, 室温および15℃の恒温庫内に出荷容器ごとに保存し, 鮮度保持に及ぼす影響を調査した。
(1) いずれの時期に収穫したブロッコリーにおいても, 品温と呼吸速度の関係は二次式に近似できた。同じ品温であれば, 呼吸速度は冬期収穫のもので最も高く, 秋期収穫のもので最も低かった。これとは逆に, 収穫時における呼吸速度は秋期のもので最も高く, 冬期のもので最も低かった。
(2) 室温に保存した場合, 秋期収穫のブロッコリーではアスコルビン酸含量が早くから低下し, 総クロロフィル含量の低下も他の時期に収穫したものに比べて速く, 鮮度保持期間が短くなった。冬期収穫のものでは成分含量の保持に優れ, 外観品質の低下も緩やかで, 鮮度保持期間も長かった。
(3) 15℃に保存した場合, 秋期収穫や春期収穫のブロッコリーではアスコルビン酸含量が早くから低下し, 総クロロフィル含量の低下も冬期収穫したものに比べて速く, 鮮度保持期間が短くなった。冬期収穫のものでは成分含量の保持に優れ, 外観品質の低下も緩やかで, 鮮度保持期間も長かった。
(4) ブロッコリーの鮮度保持は呼吸速度よりも全糖含量と良く一致し, 全糖含量が高いほど鮮度保持期間が長かった。

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