2002 年 22 巻 3 号 p. 267-273
国立成育医療センターは,旧国立小児病院と旧国立大蔵病院を統合し電子カルテシステムの稼働とともに開設された.この病院の統合という行政側の意向に対応し,それぞれの旧病院に通っていた患者の診療データを統合後にも参照し,カルテの継続をスムーズにしていくことが求められた.今回はこの統合後の電子カルテシステム上から旧病歴を参照できるシステムを開発・構築した.データの移行については,統合した両病院の旧システムが異なっていたため,それぞれのデータを電子テキストに変換し統合するという形式になった.統合後3ヶ月が経過した段階で全医師に対し評価アンケートを実施し,その結果,この旧病歴参照システムは多くの医師(84.6%)によって役立つシステムであることが明らかとなった.今後は,病院統合以前に十分な準備期間をもうけ,診療データのスムーズな移行がはかられるべきであると思われる.