抄録
キャリア研究という職業人生を論究する研究がある。日本ではこのカタカナ語が象徴するように輸入概念で研究が進んでいる。「西洋におけるキャリアの継続性を研究する人々は、客観的なキャリアと主観的なキャリアを区別することは容易である。しかし、現代日本社会においては、この区別が曖昧になっている。」(Plath 1983)と指摘されているが、海外の理論や心理学に依拠しているために種々の問題を孕んでいる。例えば、日本での適合性を検証することなく海外(主に米国)の概念研究が続いているので日本で実践すると、孤立・孤独化する「自立」人材となる虞がある。本稿はキャリア研究で看過されてきた『日本人の生き方』研究により導出された「道づれ」概念を再評価し、<職場>における<時の轍>研究を提言する。