従来、情報システムに関するデータの統制すなわちデータガバナンスは、構造化データについてのマスターデータ管理とデータ品質管理を中心に研究及び実践がされてきた。一方、2011年ごろのビッグデータ時代の幕開け以来、企業はシステムのログ、センサー、SNSなどからもたらされる大量の非構造化データをいかに処理し、活用し、価値を生み出すかに関心を寄せることとなった。つまりデータガバナンスのフレームワークはビッグデータの時代に対応するために拡張されなければならないのだが、そのような観点でのアカデミックな研究はまだ進んでいるとは言い難い。本論では、データガバナンスのこれまでの研究の動向を整理した上で、今後の研究の方向性を議論する。