抄録
高等学校物理基礎の電気分野の単元において,子どもは単元の学習後であっても並列回路を流れる電流の量を電流が枝分かれするという考えから現象を説明するため,回路全体の電気抵抗を捉える合成抵抗の理解が不十分であるという学習実態があった。このような理解の不十分さを改善するために,自己調整学習を促す教授枠組みである理科学習における教授スキームを援用して授業を開発し,実践した。さらに,その授業実践における教授学習過程を「学習前の考えの引き出し」「考えの共有・吟味・借用」「電気分野の諸概念の拡大・修正Ⅰ」「電気分野の諸概念の拡大・修正Ⅱ」「合成抵抗概念の精緻化」といった場面ごとに分析した。つまり,教授学習過程の各場面での自己調整学習の様態を表すことで,開発した授業デザインの有用性を検討した。その結果,子どもが並列回路を流れる電流について,「電圧」や「合成抵抗」という視点から捉えるようになり,既有の概念を整理し,自分なりのモデルを用いて概念を再構築していくという自己調整学習による合成抵抗概念の構築過程が明らかになった。