総合健診
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日本総合健診医学会 第40回大会
日本総合健診医学会 第40回大会・シンポジウム3 特定健診特定保健指導の今
保健指導の要諦
-職域における特定保健指導をめぐって-
飯島 美世子
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2012 年 39 巻 5 号 p. 627-633

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抄録

 保健指導は対象者の健康課題に対応するものである。しかし、特定保健指導の対象者はメタボに限定され、指導項目も当初から運動と食事指導が中心と定められ、睡眠が軽視されている。また、メンタル不調者に対してもメタボの保健指導に終始しているケースが多く見受けられ、せっかくの保健指導の機会が活かされていない。すべて、後期高齢者支援金の加算を避けたいための弊害と推測される。
 また、プログラムの評価は、保健指導を受けた参加者の満足度や達成感を評価することである。そして、メタボの該当者や予備群の減少率に限定するのではなく、集団全員を対象として生活習慣病の疾病率や異常率の年次推移を評価することである。
 短期的には参加者がいきいきとなった、あるいは元気が出てきた、調子がよくなった、という主観的な健康感の改善が期待される。そして、生活習慣全般の改善がみられ、その結果が体重や肥満度、血液の検査値にあらわれると考える。さらにその状態が10年以上継続し、国民全員に施策がおよぶとき、生活習慣病による壮年期死亡や罹患者の減少がみられ、健康寿命の延伸につながると考える。
 今後の特定健診・特定保健指導の取り組みは、それぞれの事業所や健保組合の実態に即して行われている健康管理事業の中に上手に取り込んで展開することであり、創意工夫と効果・効率的な取り組みに期待したい。

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© 2012 一般社団法人 日本総合健診医学会
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