総合健診
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総合健診とがん
乳がん検診における超音波診断の役割
鈴木 昭彦石田 孝宣大内 憲明
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 41 巻 2 号 p. 315-321

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抄録

 がん検診の目的は、受診者の当該がんの死亡率の低減にある。この目的を達成するために、科学的に有効性の証明された検診方法で、正しく検診が行われることが重要で、さらに多くの対象者が受診することで検診対象集団の中での効果が明らかとなる。乳がん対策の分野で、現時点で科学的な死亡率低減の根拠が示された検診方法はマンモグラフィをベースとした検診のみであるが、近年、任意型検診や一部の対策型検診において超音波検査を導入する動きがある。超音波検診は標準的な検査方法や診断基準が確立されておらず、乳がん死亡率の低減効果も証明されていない。検診には検査の偽陽性や追加の画像検査、身体的侵襲をともなう生検、精神的および経済的負担の増加、過剰診断などの多くの不利益もともなうため、検診の利益が不利益を確実に上回ることが証明されていない検診は、安易に取り入れられるべきではない。我が国では世界に先駆けて2006年から「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」が進行中であり、その解析結果によって超音波検査を乳がん検診の中で有効に運用していくシステムが構築されてゆくであろう。検診が真に有用であることとは、発見率のみならず、精度管理や、多くの不利益に対する検証も行われなければならず、エビデンスの確立していない現時点での拙速な超音波検査の導入は、慎重に判断しなければならない。

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© 2014 一般社団法人 日本総合健診医学会
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