総合健診
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原著
性差を考慮した各身体計測指標とCT測定内臓脂肪面積との相関性
─男性の内臓脂肪、女性の内臓脂肪─
佐藤 友美中山 佳津代柳樂 和美高尾 俊弘
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 41 巻 6 号 p. 644-652

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抄録

【目的】内臓脂肪型肥満の評価判定として最も有用な身体計測の指標を調査し、性差を考慮して関連性を検討した。
【対象および方法】当院の職員定期健康診断で同意を得た128名(男性44名、女性84名)を対象とした。本研究では職員検診時に既往歴、現病歴、内服歴、身体計測指標(腹囲、BMI、腹囲身長比、ウエストヒップ比)、血圧、血液検査(総コレステロール:TC、中性脂肪:TG、HDLコレステロール:HDL、LDLコレステロール:LDL、non HDL値、TG/HDL比、LDL/HDL比:LH比、空腹時血糖:FPG、空腹時インスリン値、HOMA-β値、HOMA-IR値)、内臓脂肪面積(100cm2≦内臓脂肪型肥満)との相関性を調査した。その結果より、因子分析およびROC曲線にて内臓脂肪型肥満の最も有用な身体計測の指標や内臓脂肪と性差との関連性について検討した。
【結果】性差と内臓脂肪との相関関係では男女共に加齢、腹囲、BMI、BMI25以上、ウエストヒップ比、腹囲身長比、収縮期血圧、TG、TG/HDL比、空腹時インスリン値、HOMA-β値、HOMA-IR値は正の相関を有意に認めた。さらに男性のみにTG150以上は正の相関、HDLは負の相関を有意に認め、女性では拡張期血圧、TC、LDL、non-HDL値、LH比、FPG、収縮期血圧130以上、LDL140以上、FPG110以上に有意な正の相関がみられた。これらの導き出された因子より因子分析を行った結果、男女共に因子1はメタボリックシンドロームの指標、因子2ではLDLに関連した脂質異常に関係があると解釈した。この複数の変数間の関係より内臓脂肪型肥満の有用な身体計測指標についてROC曲線にて検討すると、腹囲と比較して男性では腹囲身長比(カットオフ値0.48)、女性ではBMI(カットオフ値25.10)に有意な関連性が認められた。
【考察】内臓脂肪面積は各身体計測値、血液データ等と相関性が認められ、内臓脂肪型肥満は男性では腹囲身長比、女性ではBMIが有用な身体計測指標になり得ると言えた。また女性では内臓脂肪型肥満はLDL関連因子と有意な相関性が認められ、この関係は男性と比較して女性に強くみられた。

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© 2014 一般社団法人 日本総合健診医学会
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