【目的】健診受診者における上腹部症状の性別と年齢による違いを明らかにすることを目的とした。
【方法】多施設共同前向き研究に登録された上部消化管内視鏡検診受診者7,278例を対象とした。自己記入式の問診票を用いて上腹部症状として、胃食道逆流症(GERD)症状:胸やけ・胃酸の逆流、食後愁訴症候群(PDS)症状:食べきれない・もたれ感、心窩部痛症候群(EPS)症状:みぞおちの焼ける感じや痛み、の頻度を調査した。性別や年代別の上腹部症状の違いについてカイ二乗検定にて統計学的に検討した。
【成績】GERD症状、PDS症状、EPS症状を何等かの頻度で認める受診者の割合は37.4%、28.4%、21.2%、週1日以上を認める割合はそれぞれ、7.3%、5.7%、3.4%であった。3つの上腹部症状のいずれかを認めたのは48.9%、週1日以上認めたのは10.8%であった。GERD症状は全体としては男性に多かったが、60歳代以降は男性における頻度が低下するのに対し女性では加齢とともに頻度は上がり、70歳代以上では女性の方が男性より頻度は高くなっていた。PDS症状、EPS症状については、すべての年齢層で女性に多かった。男性では60歳以上で頻度は低くなっており男女差が大きくなっていた。女性ではGERD症状、PDS症状、EPS症状が3つともオーバーラップしている受診者が最も多かったのに対し、男性ではGERD症状のみを認める受診者が最も多かった。
【結論】健診受診者の約半数に上腹部症状を認めていた。性別と年齢により上腹部症状のパターンに違いが認められた。