総合健診
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原著
自己評価表を用いた接遇改善への取り組み
永山 照美長沼 文雄星野 真知子逸見 佳代荒木 健彦山岸 由紀孝鶴谷 英樹
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キーワード: 健診, 接遇, 自己評価表, 性差
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 48 巻 2 号 p. 233-242

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抄録

【目的】健診における接遇改善のため、自己評価表を用いてのアンケート調査を当センタースタッフに行い、自己評価の改善度とその特徴を検討した。

【方法】施設内接遇研修会(平成30年1月)受講後の当健診センタースタッフ30名に接遇自己評価表によるアンケートを同年3月、6月、9月、12月に実施し、自己評価の低い項目を始業時に読み上げ、留意して行動するよう啓発した。自己評価は「挨拶」、「態度」、「言葉遣い」、「表情」、「身だしなみ」、「その他」の6カテゴリーに分け、「挨拶」5項目、「態度」12項目、「言葉遣い」10項目、「表情」6項目、「身だしなみ」15項目、「その他」6項目について出来ているものは1点、出来ていないものは0点としてスコア化し、結果は満点スコアに対する%で表示し比較検討した。

【結果】(1)各カテゴリーの初回(3月)と最終(12月)の自己評価を比較すると全てにおいて最終時点で有意に自己評価の改善を認めた(「挨拶」85±21 vs 99±5%、「態度」75±25 vs 93±14%、「言葉遣い」73±21 vs 91±17%、「表情」71±27 vs 90±15%、「身だしなみ」94±8 vs 98±4%)。(2)「態度」の最終評価時(83±14 vs 95±13%、p=0.03)と「表情」の初回評価時(50±20 vs 77±24%、p=0.02)で男性が女性に比し有意に低かった。(3)年齢層(30~40代 vs 50~60代)および職種(看護職vs 事務職)間での差は認められなかった。

【結語】スタッフの自己評価表による複数回のアンケート実施は、全てのカテゴリーにおいて自己評価の改善が認められ有用であった。男性においては女性に比し、「表情」での初回の自己評価が低く、「態度」での改善度も低いという性差があることが示された。これらの結果は接遇研修等の場での指導に役立つ情報を提供するであろう。

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© 2021 一般社団法人 日本総合健診医学会
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