【目的】従業員食堂運営担当課職員へ従業員食堂での栄養教育に関する情報提供を行うことによる、従業員食堂での喫食者の健康づくりのための栄養教育の実施可能性を検討する。
【対象者】市役所職員食堂(以下、食堂)の運営担当課(以下、担当課)職員4人及び受託給食会社(以下、給食会社)従業員1人。
【方法】食堂の実態を踏まえて作成した「食堂での栄養教育に関するマニュアル」を用い、対象者へ情報提供を行い、その内容に関する知識と態度について無記名の自記式質問紙調査を実施した。分析は、KAP-KABモデル、計画的行動モデル、自己効力感・意図の概念に基づき症例集積研究として報告した。
【結果】食堂での栄養教育に関する知識は、担当課職員全員が『おいしく楽しい食事』『健康づくり』『衛生的で安全な食事の提供』『関係部門・職種との連携』の各取組について「分かった」と回答した。態度(意図)も、担当課職員全員がマニュアルを読んで食堂での健康づくりのための昼食サービスをやってみたいと「思った」「まあまあ思った」と回答した。一方、態度(自己効力感)が高い回答と低い回答が見られ、取組により異なった。給食会社従業員の態度(意図)は、栄養管理業務に携わった事がない担当課職員がマニュアルの内容を理解した場合に連携がとりやすくなると「まあまあ思う」と回答した。一方、マニュアルの内容全体を理解した場合には「あまり思わない」であった。
【考察】マニュアルでの情報提供により担当課職員の食堂での栄養教育に関する知識と態度が向上したことから、担当課による食堂での喫食者の健康づくりのための栄養教育の実施につながる可能性が高いと考えられた。担当課職員のよる確実な栄養教育の実施や給食会社と関係部門等との連携した栄養教育の実施には、提供する情報の再検討と追記、行動変容ステージを考慮した情報提供、関係職種・部門の連携を推進する働きかけが必要である。