総合健診
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出張定期健康診断の受診者における全体的な満足度に影響する要因について
工藤 安史佐藤 敏彦相澤 好治
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2004 年 31 巻 2 号 p. 381-387

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抄録
某企業の従業員を対象とした出張定期健診の受診者にアンケート調査をすることで, 定期健診の改善点について検討した。出張定期健康診断の受診者に性別や問診時間などの属性・基本事項, 定期健診の全体的な満足度, 医師に関連する事項, 定期健診における検査に関連する事項, 受付の対応など周辺的要因に関連する事項について, 「満足」, 「どちらでもない」, 「不満足」の3段階で質問を行った。調査対象者数は270人で, 回収できたアンケート用紙は209枚であった (有効回答率77.4%) 。
定期健診の全体的な満足度に影響を与える要因について調べるために, 医師や検査に関連する事項, 受付の対応などの周辺的な要因に関連する事項を説明変数として, 全体的な満足度を従属変数とするステップワイズ法による重回帰分析を行った。結果, 問診時間 (標準偏回帰係数=0.243) と問診内容 (標準偏回帰係数=0.179) という医師に関連する要因と, 定期健診における検査担当者の技術力 (標準偏回帰係数=0.227) , 検査担当者の説明力 (標準偏回帰係数=0.155) という検査に関連すると思われる要因が選択された (p<0.05) 。他方で, 待ち時間などの周辺的要因で, 選択された質問項目は存在しなかった。
全体的な満足度に影響をもたらす受診者の属性・基本事項を調べるために, ノンパラメトリック検定 (Mann-Whitney検定, Kruskal-Wallis検定) を行った。結果, 3分以上の問診を受けた者が, 3分未満の問診を受けた者に比べて満足度が増大していた (p<0.05) 。
以上のことから, 医師と検査に関連する要因の果す役割が大きく, 特に形式的ではない3分以上の問診を提供する必要性が認識された。
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© 日本総合健診医学会
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